作品の仕上がりを左右する接着芯。
接着芯を貼る作業は手間がかかるので、「貼らない派」の人もいるかもしれません。
私もどちらかと言うと好きな作業ではありません。
出来るだけ接着芯を貼らず、生地そのままの風合いを生かす方が好きですが、それでも作る作品によっては必要になってくるもの。
きちんと使えば、より仕上がりを綺麗に、丈夫に、クオリティも上げてくれます。
でも、接着芯について「あんまり詳しく知らない」「何を貼っていいか分からない」という人も多く、なんとなく選んで使っている人も多いのではないでしょうか?
接着芯の基本を知っておくだけでも全然違います!
上手に使ってワンランク上の作品を目指しましょう!
接着芯の種類
接着芯の種類は大まかに5つです。
・織物タイプ
・不織物タイプ
・接着キルト芯
・シールタイプ
・両面接着タイプ
では、細かく見ていきましょう。
織物タイプの接着芯
織物タイプというのは、分かりやすく言えば「布の接着芯」です。バイアス方向に伸びるので生地となじんで張りを出すことが出来、洋服などにも使われます。
プレシオンは使いやすくておすすめです。
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接着芯を貼ってもしわになりにくく、洗濯してもはがれにくいのが特徴ですが、織物なのでバックなどに使用しても自立するほどの張りは出ません。
白、黒がベースですが最近はカラーバリエーションも豊富になって来ていて、「見せる接着芯」として使われるものもあります。
不織物タイプの接着芯
伸縮性はなく、「紙のような質感の接着芯」です。一番よく知られている接着芯でダイソーなど100均でも購入出来ます。
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織物タイプよりも固く仕上がるので、バックを自立することも出来ます。
ただ、しわになりやすく、洗濯すると生地からはがれやすいのが難点。しわが目立たないバックの底や持ち手だけに使用する場合もあります。
洗濯することを前提としていないポーチなどに使用するのがおすすめです。
接着キルト芯
キルトなので生地をふんわりとさせてくれます。クッション性が欲しいバックやポーチ(スマホポーチなど)におすすめです。
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キルト自体に厚みがあるので、バックはしっかりと形を保ち、自立します。こちらも100均でも購入することが出来ますが、100均のものはのりの接着力が弱いので注意が必要です。
シールタイプの接着芯
アイロンを使わずに貼れる接着芯です。貼るのには少しコツがいりますが、手軽に張りを出すことが出来ます。
私が使っているのは「スライサー」という接着芯です。まだ使ったことがない人はぜひ試してみて下さい。バックのクオリティが断然UPしますよ!
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ただ、ミシンで縫っていくときに接着ののりが針に付いてしまい、ベタ付いてしまうのが難点。縫い線に接着芯がかからないようにするか、ベタ付きをオイルなどで拭きとりながら縫うのがポイントです。
両面接着タイプの接着芯
あまり知られていないかもしれませんが、両面接着できる接着芯もあります。
生地と生地を張り付けるので1枚仕立てでもしっかりとした自立したバックを作ることが可能です。
バックにおすすめなのは「ホットメルトサンド」とか「ホットメルトシート」と呼ばれる接着芯です。
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生地にもよりますが、かなりしっかりと固く仕上がるし、アイロン接着なのにシールタイプのように接着力が強く、剥がれる、浮いてくるという事がほとんどありません。
なかなか扱っているお店がないのですが、すごくおすすめです。
接着芯の選び方
接着芯の種類は大まかにはこの4種類ですが、厚さも様々なので、使用する生地に適した接着芯を選ぶのがとても重要になります。
使用する生地によって風合いや固さが変わってくるので、初めて使用する場合は布端などに試しに貼ってみて確かめてみるといいと思います。
色々と使っていくと「こういう生地にはこの接着芯」という自分が使いやすいものが分かってきます。
それぞれの生地によって適した接着芯をご紹介しておくので参考にしてみて下さい。
木綿 薄手生地には・・・
織物タイプ・不織物タイプの薄手の接着芯がおすすめ!
薄手の生地には基本薄手の接着芯を貼ります。
厚手の接着芯を貼ってはいけないという事ではないですが、なじみが悪くなったり、見た目にも少し違和感が出ます。薄手の接着芯ではボリュームが足りないときは、裏布に少し厚手の生地を使用することで違和感なく丈夫に仕上げることが出来ます。
ウール生地には・・・
織物タイプ・不織物タイプのやや厚手の接着芯がおすすめ!
ウールには接着芯を貼る必要はないのでは?と思うかもしれませんがウールは柔らかく、バックなのに仕立てるには強度も足りません。しっかりとしたバックにしたい場合はやや厚手の接着芯を貼りましょう。
ニット生地には・・・
薄手の織物タイプの接着芯がおすすめ!
ニット生地をバックにするパターンは少ないかもしれませんが、薄手の接着芯を貼ることでしっかりしたバックに仕立てることも可能です。ニット生地のバックは作っている人が少ないのでオリジナリティを出すことも出来ますよ。
接着芯の貼り方
接着芯の基本の貼り方は、生地の裏側に接着芯の接着面(ザラザラしている面)を下にして中温程度でアイロンをかけます。
アイロンをかけるとのりが溶けて生地にくっつくのですが、この時アイロンにものりがくっついてベタベタになってしまうことがあります。
そんな時はハトロン紙を接着芯の上にのせ、ハトロン紙の上からアイロンをかけます。
私はいつもこのやり方で芯を貼っています。この方が熱が均一にほどよく当たるので綺麗に貼ることが出来ます。
アイロンはスチームアイロンの方がいい?
アイロンはスチームアイロンでも、スチームアイロンでなくてもどちらでも大丈夫です。
ただ、スチームアイロンはスチームの出方がまちまちだったり、スチームの蒸気が出る穴の部分が接着出来ずにムラが出来てしまうこともあるので注意が必要です。
スチームアイロンを使わない場合は、霧吹きで接着芯全体を軽く濡らしてからハトロン紙を乗せてアイロンをかけます。ハトロン紙に霧吹きをかけて、それを接着芯に当てるという方法もあります。
接着芯を貼ったらシワシワになってしまう
接着芯がシワシワになってしまう原因はいくつかあります。
まずはアイロンの温度が高すぎる場合。接着芯が溶けてしまったり、生地が縮んだりすることでシワになります。
そして一番ありがちなのは、薄手の生地に不織物タイプの接着芯を貼った場合。ごく薄手の不織物タイプの接着芯を貼ればそれほどシワにはならないと思いますが、厚手の不織物タイプの接着芯はとてもシワになりやすいです。
また、接着した時は綺麗でも洗濯することによって生地から接着芯が剥がれ、浮いてしまい、さらにシワになってしまうことがあります。
特に不織物タイプの接着芯は洗濯に弱いので、ガンガン洗濯するバックには織物タイプを貼るか、または接着芯を貼らなくてもいい生地を選ぶことも大事です。
デザインや縫製がどんなに素晴らしくても、接着芯が浮いてシワシワだったら台無しです。
まずは生地と接着芯の厚みを合わせることに気を付けてみて下さい。
パッチワークや切り替えの生地に接着芯を貼る時はどうするの?
生地を切り替えたり、細かくパッチワークののようにデザインすることも多いと思いますが、この場合は先に生地を縫い合わせてから全体に接着芯を貼るのか。それとも接着芯をそれぞれのパーツに貼ってから縫い合わせるのか?
悩むかもしれませんが、綺麗に仕上げるにはパーツごとに接着芯を貼る方法です。
合わせる布はどれも素材や厚さが同じとは限りませんよね?それぞれの生地に合った接着芯を貼って全体の厚みを揃えることが大事です。
布合わせをしてから接着芯を全体に貼る方法もやったことがありますが、縫い代部分がきちんと貼れず、生地が浮いてしまうのは避けられませんので面倒くさくてもパーツごとに貼ることをおすすめします。
接着芯はどこまで貼る?
接着芯を、たまに縫い代部分を含まず貼る人がいますが、基本それは間違いです。縫い代まで全部かかるように接着芯貼ります。
そうすることで接着芯にもミシンをかけることになるので、剥がれたり、よれたりすることを防ぐことが出来ます。
シールタイプの接着芯は、接着力が強く、のりがミシン針に付くということもあるので縫い代を含めず貼っても大丈夫です。
接着芯を貼らなくていい生地はどんなもの?
接着芯は必ず貼らないといけないものではありません。
生地を固くしたり、丈夫にしたりしてくれる役目をしてくれるので、もともとしっかりとした生地には使用する必要はありません。
例えば帆布、ラミネート、ファー(フェイクファー)など。
接着芯を貼らなくても問題ないですね。
また、リネン生地など、生地の素材を生かしたい場合は接着芯を貼ることによって風合いが変わってしまうので、どんな作品にしたいのか?というのをよく考えてから貼る・貼らないも決めましょう。
貼らない方がいい生地もたくさんあります。
私はどちらかというと生地の素材を生かしたいので、出来るだけ接着芯は貼りたくない派です。もちろん面倒くさいというのもあります。
でも、「しっかり自立したバック」を求めているお客様も多いのも事実。
なので、そこは要望に応えたいと思いますし、シワシワのバックを販売するのは嫌なので、使用するのは「織物タイプ」か「シールタイプ」または「両面接着タイプ」です。
不織物タイプの接着芯はほとんど使いません。
不織物タイプの接着芯はダメという訳ではなく、作品によっては十分に役目を果たしてくれるものもたくさんありますが、生地との相性というのがとても大事になってきます。
接着芯をしっかりと正しく使いこなして、ワンランク上の作品を目指してくださいね!